Payn:Paynを知ったきっかけ、導入を決めた経緯を教えていただけますか?
下嶋:実は私は、かなり初期段階から山下さん(弊社代表取締役CEO)からPaynの構想を聞いていたんです。初めてこの話を聞いた時は、「面白い。とても画期的なアイデアだ。」と感じました。Paynが稼働し始めた2022年7月(※正式リリースは同年10月)からサービスを利用しています。
現在は、ホテルの全40店舗にPaynを導入済みです。
Paynは初期費用も月額費用も無料ですし、設定も簡単ですから、導入にあたっての不都合はありませんでした。
導入を決めた一番の理由は、キャッシュフローを改善したいということでした。新型コロナウイルス流行の影響で売上が落ちていく中、少しでもキャンセル料を回収できれば、会社にとってプラスになるんじゃないかと思ったんです。
Payn:それまでは、キャンセル料を回収していなかったのですか?
下嶋:そこまで積極的には回収できていませんでした。
Payn:積極的にキャンセル料を回収できないことによる問題はなんでしょうか?
下嶋:ホテルのサービスはその日のうちに販売しないと、価値がなくなってしまいます。なのでキャンセルをされることは、その分の売上を失うことと同じです。そこを回収しないと、従業員に還元する売上も確保できないということになります。これは私たちにとって、とても大きな問題でした。
さらに、キャンセル料の回収は電話や請求書の送付といったアナログの作業が多く、手間が非常に大きいことが課題です。アナログがゆえに従業員への負担が大きくて、人が少ない上に他の業務もあると考えると、どうしても優先順位が下がってしまうわけです。
加えてキャンセル料の請求となるとお客様に怒られる時もあり、心理的な圧迫感も大きいです。さらに、キャンセル料を請求しても、全員が払ってくれるわけでもない。そういったマイナス要素がさらに請求業務を後回しにするという悪循環が生まれていました。
その解決策としては、事前決済で先に料金を支払っていただくことが一番なのですが、お客様にとっては非常にハードルが高いですよね。事前決済のみにすると集客率が落ちるけど、現地払いだとキャンセル料の回収率が落ちる……こういったところで、頭を悩ませていました。
Payn:Paynを導入して、業務や従業員の方々にはどんな変化がありましたか?
下嶋:Paynでは1分もかからずに請求業務が終わるので、「こんなに簡単にキャンセル料が回収できるんだ」というのが、従業員からのコメントですね。電話も必要もなくなって心理的な負担もなくなり、メッセージを送るだけでキャンセル料の回収ができるんですから、メリットしかない状況です。使えば使った分、効果が大きく現れるんです。
同業者に薦めると、皆さん「いいサービスを紹介してくれてありがとうございます。」と言ってくれます。
Payn:そもそもの目的だった、キャッシュフローの方はいかがでしょうか?
下嶋:しっかりと改善できました。コロナで抱えた負債も解消できてきているので、将来的には、社員への還元や設備・サービスへの投資に転じていきたいと考えています。
Payn:ホテルを利用するお客様の反応は変わりましたか?
下嶋:電話をすることがなくなったので断言はできませんが、請求書よりもメッセージのURLからの方がキャンセル料を払いやすいようです。早いと、メッセージを送ってからたった数分でキャンセル料を支払ってもらえます。こうして考えると、お客様側も決してキャンセル料を払いたくないわけじゃないのかもしれませんね。
Payn:他に感じているPaynのメリットはありますか?
下嶋:メッセージを送るお客様を選べるところです。やっぱり毎月ご利用いただいているお得意様にはキャンセル料の請求ができないので、そういった方を対象から外せるのは、とても助かっています。
Payn:今後、Paynに期待することはなんですか?
下嶋:私は将来的に、ミナシアだけではなく宿泊業界全体が〝キャンセル料を請求するのが当たり前〟という認識になるといいなと思っていて、それを目指すためのソリューションがPaynだと思っています。これを実現するためには、私たちだけではなく、お客様の負担も軽減されるといいですよね。
たとえば、今は支払方法がクレジットカード決済か銀行振り込みですが、そこにコンビニ払いや電子マネーなども追加されるといいなと思っています。
Payn:先ほど、キャンセル料を設備・サービスへの投資に充てていきたいとのお話がありましたが、具体的にはどのような設備に投資しようと考えていますか。
下嶋:第一に考えられるのはDXです。DXでさまざまな業務が自動化できる環境が整備できれば、従業員は観光案内といった、“人にしかできない業務”に集中できます。サービスの質も向上するので、お客様にとってもプラスになると思います。回収できたキャンセル料でそこに投資できるというのは、ものすごく大きなメリットだと思います。回収・投資・還元を繰り返して、ホテル側もお客様側も満足するという好循環を生み出せたらいいですよね。
Payn:現在、Paynの導入以外でされているDX関連のお取り組みはありますか。
下嶋:口コミ情報を自動で集めて分析できるツールを導入しています。それ以外にも人事管理や社内の情報共有、従業員教育といったところで、それぞれに適したデジタルツールを導入・運用しています。
今後は、Webやアプリによるチェックイン・チェックアウト業務の自動化を検討しています。
Payn:最後にキャンセル料の回収に課題を感じている企業の方へメッセージをお願いします。
下嶋:先ほどもお話ししたように、Paynは使えば使うほど大きな効果を得られるツールです。初期費用も月額費用がかからないので、まずは導入を試してほしいです。
ですが実際は、私たちのように積極的にPaynを利用しているホテルがある一方で、まだPaynを使うきっかけを得られていないホテルもあります。ですから私も、啓蒙活動として他のホテルの方にPaynを紹介して、どんどん仲間を増やしていきたいです。
Payn:私たちもPaynを通じて、宿泊業界をよりよくするお手伝いをしていきたいと思います。ありがとうございました。