
インタビューにご協力いただいた方

貴社が展開する事業の特徴を教えてください。
吉弘:弊社アイアンドエフ・ビルディングは、1973年に大阪で創業した会社で、ホテルの所有・運営と不動産賃貸業が二本柱になっています。大阪でビルやマンションの賃貸を手がけながら、グアムでのアトラクション運営や金属研磨、宿泊施設向けのサポートサービス、太陽光発電までやっておりまして、「ホテルの会社です」と一言で言い切れないくらい、いろいろな事業に取り組んでいる会社です。
宿泊事業のほうは「ビナリオ ホテルズ&リゾーツ」というブランドで展開しております。大阪の梅田、京都の嵯峨嵐山、石川の小松、福井の敦賀といった都市型のホテルから、温泉旅館の「ホテル花庵」「湧泉の宿 ゆあむ」まで、あわせて6施設。ビジネスでお使いいただくお客様も、旅行でゆっくりされたいお客様も、どちらもお迎えできる構えになっていまして、2025年10月には小松にANNEX(別館)もオープンしました。
その中でこの「ホテルビナリオ梅田」は、JR大阪駅から徒歩10分ほど、大阪メトロの中津駅からだと徒歩3分という立地の、全217室のホテルです。グループで一括仕入れしている神戸牛や、山陰から届く食材を並べた朝食バイキングが、ありがたいことにお客様から高い評価をいただいていて。レディースフロアや宴会場もございますので、ビジネスから観光まで、幅広くお使いいただいています。
貴社でのPayn導入状況をお聞かせください。
吉弘:最初に導入したのが、このホテルビナリオ梅田です。そこからグループ全社に展開して、今でだいたい3年ほど使っています。
初めてPaynを知った際の印象はいかがでしたか?
吉弘:知ったきっかけは、ホテレス関西という展示会でブースに立ち寄ったことでした。
もともとキャンセル料の請求と回収はきちんとやりたいという思いがあったんですが、他のサービスを利用している会社でも請求ツールの開発があったので、比較検討をしたうえでPaynの利用を開始しました。
最大の決め手は、Paynはシステム連携ができるので、請求先の情報を1件ずつ手入力しなくても請求できるという点です。もちろん工数の負担が減るのも大きいのですが、もう一つ大きなポイントが「誤請求を起こさないこと」でした。手入力だと、どうしてもお名前や電話番号、メールアドレスをタイプミスやコピペミスで間違えてしまう。人為的なミスから誤った請求が起きてしまうリスクは回避したかったんです。
そのためにPayn利用当初はサイトコントローラーからのデータ取り込みで運用していましたが、今はPMSのTAPと連携ができるようになったので、そちらに切り替えて運用しています。「極力誤請求が起きないようにしたい」という私たちの要望に対して、Paynは最適な選択肢でした。
Payn導入時には、どんなプロセスで社内に浸透させていきましたか?
吉弘:最初は私が所属するホテルビナリオ梅田でスタートしていたんですが、全社に展開したきっかけは、支配人会で改めてPaynの話が浮上し、梅田での運用を水平展開しようという流れになり、全店舗に導入しました。
嵯峨嵐山からも「やりたいけれど、どう進めればいいのか」という声が上がっていて、支配人会では社長からも積極的に活用していくようにとの発言がありました。
そこから私が主体になって全体の交通整理を進め、運用開始に至りました。スタッフに業務を移管していくにあたっては、Paynの方にお願いして簡単な説明会も実施しています。
「払う側の利便性の高さ」が、確実に回収率につながっていると思います。

貴社において、キャンセル料の請求と回収はどんな状態でしたか?
吉弘:結論から言うと、積極的にはやっていませんでした。
キャンセルをされた方の中には、一部ご自身から「キャンセル料を払うので銀行口座を教えて欲しい」とおっしゃる方もいました。誠実なお客様からのそうしたお申し出は、ホテルとしては当然ありがたいのですが、同時に実際のオペレーションを考えると、現場としては正直複雑な思いもあったんです。
と言うのも、いざ請求するとなると、まず請求書を起こすまでに社内のコミュニケーションが必要になり、平素の業務と並行してイレギュラーな請求業務が入るとそれに結構な手間がかかります。それを起点として、請求書を送付したあとの入金チェック、督促、入金額の突合、入金額に誤りがあった場合の対応など、マニュアル作業が一連で発生するので、どうしてもプラスアルファで仕事が1つ増えてしまうという感覚はありました。
せっかく払うと言っていただいているのに、真っ直ぐには喜べないという複雑な状況ですね。そこに取られる手間と時間を考えると、次回のご予約に振り替えることで免除するオペレーションを積極的にやっていたり、シンプルに「今回は結構ですよ」とお伝えすることが当たり前になっていました。そんな状況だったので、「キャンセル料は払われたらラッキー、未払いは仕方ない」「払われなかったときにどこまで追いかけるか、手間をかけるくらいならやらない方がいいのでは」という後ろ向きなスタンスが常態化していました。事前決済していただいている方へは自動で請求できているのに、現地清算の方への請求はしない、という不公平な状態になってました。
その課題はPaynを導入したことでどのように変わりましたか?
吉弘:そういう中で、このキャンセル料請求の一連をもしうまく自動化できるなら、という思いでPaynの利用を本格的にスタートさせました。何よりも「請求書をマニュアルで送らなくていい」というのが一番大きかったですね。
本格的に使い始めて最初に感じたのは、「意外と払ってくれる」ということでした。先ほどお話ししたように、現場ではキャンセル料の請求は手間がかかり、回収もほとんどされないというのが既成概念としてこびりついていたんですが、それを軽く超えて、期待以上の回収率が実現され始めたんです。
もともと自社で請求していたときは、支払いの選択肢が銀行振込一択だったのに対して、今はクレジットカードやオンライン決済など、いろいろな決済手段を選んでいただけます。しかもスマホ1つで数クリックで支払いが完了して、領収書もその場で発行できるので、ホテル側もお客様側も、双方にとって負担が少ないんです。特にこの「払う側の利便性の高さ」が、確実に回収率につながっていると思います。
もともと、事前決済は無条件にキャンセル料が回収されるのに、現地決済については請求自体をしなかったり、積極的に免除をしたりという状況があって、事業者として統一感がなく、不公平だとは思っていました。今はPaynがあることでそこが統一されて進化しましたし、さらにそこから派生して、OTAからのキャンセル料免除依頼に対するスタンスも統一されました。
私が今所属しているホテルビナリオ梅田は宿泊主体型で、朝食に力は入れつつもビュッフェなので、1件のキャンセルによる直接的な食材費へのダメージはそこまで大きくありません。しかし、旅館は高単価故に1件のキャンセルから受ける影響も大きい。これまでは次回のご予約をいただくことでキャンセル料を免除していましたが、これからは積極的に回収する方向に進化したいと考えています。
今後は免除や次回予約への誘導ではなく、キャンセル料の請求と同時に、次回のご予約で使える割引クーポンなどをご提供することで、まずキャンセル料という損失を回収しつつ、次回のご予約につなげる。そういう流れに持っていきたいですね。社内の飲食施設では元々そういう仕組みをやっていて成功しているので、きっと旅館でも成功できると思っています。
今後は、宿泊税の事前支払いや取り漏れに対する請求と回収をきちんと自動化できるように使いこなしていきたい

今後、Paynに期待することはなんですか?
吉弘:Paynではキャンセル料以外の請求もできるようになっていますが、今後は、宿泊税の事前支払いや取り漏れに対する請求と回収をきちんと自動化できるように使いこなしていきたいです。
これは私の個人的な感想ですが、Paynは開発のスピードがとても早い。そして、スタッフの方の事業に対する理解度、解像度の高さが何よりも突出していると思います。ホテルの現場の考えや日々のオペレーションというのは、ちゃんと関わったことがない人にはなかなか理解しづらいと思います。いろいろなシステム会社の方と会話をしますが、開発の方はもちろん、営業の方ですらなかなか理解できないことが多い。つまり、1つフィードバックをするにも、事業者側に大きなコミュニケーションコストがかかるということです。それが重なると、「どうせ言っても……」と、結局改善のためのフィードバックも出ないまま、システムも改善されないという悪循環が生まれがちだと思います。
Paynに関しては、言わなくても先回りしてすでに動いてくれていたり、細かく説明しなくても良いですし、フィードバックへの理解も正確で早いんです。例えば「今のPaynの機能で満足していますが、強いていうならこういうことができるとより良い」とお話しすると、「それってこういうことですよね?実はすでに水面下で開発が進行していて、いつ頃にテストを開始する予定です」と返ってくる。そういう体験が度々ありました。
ですので、Paynの価値は、機能そのものだけでなく「人」にもあると思います。
ホテル業界が今置かれている現状に対して、キャンセル料の請求と回収が当たり前になることは、どんな効果を生むと考えられますか?
吉弘:当然のように請求し、当然のようにお支払いいただくようになると、予約全体の質が上がります。ノーショーもほとんどなくなるはずです。
このキャンセル問題の解決は、ただテクノロジーに頼るだけでも、お客様の善意を期待するだけでもダメで、事業者からお客様への啓蒙も必要です。Paynはそこに大いに役立っていると思います。
今はかなり少なくなってきていますが、少し前はキャンセル料を請求すると「他のホテルは請求しなかった」という言葉と一緒に、キャンセル料の免除を強要されるようなこともありました。そういう悪い文化がなくなり、本来あるべき姿になれる。そうすれば、ホテル側もお客様により良い時間を提供できる時間が増えて、一段階進化できると思います。
最後に、Paynの導入を検討している事業者へのメッセージをお願いします。
吉弘:私としては、キャンセルが発生していて、Paynの仕組みがわかれば、導入をおすすめします。
おもてなしは、事業者が一方的に疲弊しながらするものではありません。もしスタッフが疲弊してしまったら、おもてなしどころではないですから。特に旅館などは、市場の営業日の関係でお客様のために先がけて食材を仕入れたり、提供にあたって事前の準備がいろいろとあるので、「キャンセル料は諦める」が当たり前という状態は、今後の世の中ではありえないと思います。
宿泊施設という特性上、いろいろな背景をお持ちのお客様がいらっしゃるので、どうしても柔軟に対応するべきところは残しつつも、「請求しないことがおもてなし」ではない、ということもしっかりと啓蒙していきたいと思います。
キャンセル料請求のコミュニケーションは、どんなにキャリアを積んだ方でもストレスが大きい仕事だと思いますし、実際に私自身もやるのは嫌です。Paynでのキャンセル請求は、自力でやるより回収率が向上するというだけがメリットではありません。直接的な会話も支払いも対面でやらなくていいので、スタッフのメンタルも守れる上に、お客様側の負担も軽減できる。双方にとって良い仕組みです。ぜひ試してみていただければ、きっと既成概念を超えて良い結果が出ると思います。

