
インタビューにご協力いただいた方

貴社が展開する事業の特徴を教えてください。
畠中:当社は1989年の設立以来、全国でホテルの運営や開発を手がけている会社です。「雨庵 金沢」「ザ・スクエアホテル」「ホテル・アンドルームス」「ランプライトブックスホテル」「ハタゴイン」「ロワジールホテル」「チサンホテルズ」など20のブランドを保有し、22のブランドを運営していて、北海道から沖縄まで全国51カ所・約8,600室を運営しています。バジェットホテルからシティホテル、独自のコンセプトを掲げたライフスタイルホテルまで価格帯もタイプも幅広く揃えていています。
私たちが掲げているのが『あらゆるホテルの課題を総合的に解決するステイ デザイン カンパニーへ』というビジョンです。単にホテルをつくるのではなく、お客さまの「行動をデザインする」ことで既成概念の枠を超えた新しいホテル体験を創造するという考え方です。たとえば、夜の時間帯に、無料の「らーめん」やスイーツを提供することで、ゲストのみなさまに、共用部分のラウンジをよりご利用いただけるようなサービス提供をはじめ、自分たちのオフィスもホテルライクに設えるなど、その思想を会社のあらゆるレイヤーに通底させています。
貴社でのPayn導入状況をお聞かせください。
芝開:2023年2月から全社的に利用を開始しまして、3年以上の運用実績があります。
初めてPaynを知った際の印象はいかがでしたか?
芝開:すごいツールが出てきたな、というのが第一印象でした。これまでは、キャンセルポリシー自体は設定はしていても、心理的な壁がありなかなか請求しづらい面もあったんです。その壁がなく請求できるというのは、気持ちの面でもやりやすい。当たり前のことができていなかったのが、当たり前にできるようになるんだな、と思いました。
畠中:私はもともとEコマース(物販)の業界にいたのですが、ECの場合、キャンセルが発生しても 商品の物理的な価値が損なわれることは稀で、キャンセル料という概念もあまり持っていませんでした。そのため、宿泊業界では、キャンセル料の発生時、回収を断念することが暗黙の前提となっている実情を知ったときは、たいへん驚きました。同時に、この課題を早期に捉えてPaynの導入を決定をした会社の姿勢に、とても共感したのを覚えています。
貴社において、キャンセル料の請求と回収はどんな状態でしたか?
畠中:キャンセル料請求は、なんとなく「ご宿泊されていないのに請求するのは申し訳ない」という気持ちもあったと思いますが、長きに渡ってそれが「解決できない課題」として社内に定着してしまっていたんですが、Payn導入をきっかけに、ようやくルール作りが始まりました。
無条件のキャンセル料免除ではなく、きちんとしたコミュニケーションを通してロイヤリティを生む。そういう環境を作りたかった

貴社は本社一括での請求から、徐々に現場へ業務移管されました。具体的には、どんなプロセスで社内に浸透させていきましたか?
芝開:まずは本部で請求をしてみる、という方針を決めました。いきなり急発信でなく、まずはノーショーのみ現場からの報告をもとに請求するという前提で進めました。
最初は現場からのメールを元に請求していたんですが、業務効率改善のために社内のコミュニケーションツールにノーショー専用チャンネルを設けて都度報告を上げてもらう形に変更しました。これをしたことで、社内的に業務として当たり前にキャンセル料請求ができる土台ができたと思います。
Paynのおかげで業務負担はほぼないですし、特に大きな問題も発生しません。また実際に支払いがあればPaynからメールで回収成功の連絡が入るので、この請求をしていることの正当性ややりがいも感じました。
本部で「当たり前に請求していいんだ」という感覚が根付いていったのはこの頃です。
第二段階として、PaynとPMSをAPI連携したことで、作業時間が圧倒的に短縮されました。キャンセルが発生するごとに自動で送られてきた情報をベースにPMSを見て請求可否を確認する、という流れですが、それまではPMSからコピペで対応していたPaynへの手入力作業がゼロになって、業務効率が格段に向上しました。
畠中:そのまま進めていたのですが、次のフェーズで課題が見えてきました。
どうしても現場からの報告を待ってから請求する流れだと、現場で報告メッセージを送る手間と、本部側でそれを受け取って請求する手間が二重でかかってしまう。さらに、発生から請求までのタイムラグも大きくなってしまうという問題が、徐々に浮き彫りになってきたんです。
やはり現場で請求業務を行った方が鮮度が高くて、スムーズなんですね。Paynを現場で使えば本部への報告のための入力作業もありませんし、コミュニケーションコストも下がります。
その分、本部が新しい業務に時間を使えるようにしたかった、というのもあります。これまでは全店舗分の請求をするのに毎日30分ほど、加えて月末には経理とのすり合わせのためのコミュニケーションも発生していたので。
ちょうどそのタイミングで、Paynさんから「本部から現場に業務を移管してうまくいっている会社がある」とアドバイスをいただいただき、我々もまさにその問題に直面していたため、第三段階として、本部から現場への業務移管の設計に動き出しました。
本部の運営責任者の方と移管について十分に打ち合わせをした結果、社内の調整は非常にスムーズでした。Paynさんにはその間、親身に相談に乗ってもらいました。
具体的には、チェーンホテルのマネージャー会合で発表の機会を作って、支配人レベルに対しては「業務が増えるわけではない」という視点や、現在発生しているコミュニケーションコストの件も強調して話しました。
芝開さん達がこれまで使命感を持ってやっていることが、確実に数字で結果に出ている。だからビジネスの面ではプラスしかない、ということ。
もう一点は、これをホテルの現場にやってもらうことで、現場がお客様との関係性をいま一度きちんと考えて、無条件のキャンセル料免除ではなく、きちんとしたコミュニケーションを通してロイヤリティを生む。そういう環境を作りたかった。この2点をしっかり伝え、関係各位に納得してもらいました。
芝開:その後、現場への落とし込みは、事前にマニュアルを作って配布したうえで、それをベースにオンラインで説明会を実施するという流れで進めました。たまに質問が来ることはありますが、大きなトラブルもなく移管できました。
その間、Paynさんからもアドバイスをいただいて、気をつけるべきポイントを押さえながら遂行していった、という感じですね。本当にトラブルなくスムーズに進みました。おかげで今はキャンセルポリシーに基づき、ノーショーだけでなく、キャンセルの請求も行えるようになっています。
畠中:あとはPaynさんから本当に細かく丁寧に、3回に分けて現場への使い方の説明会を実施してもらったので進められたと思います。Paynさんには感謝していますし、現場ともうまく連携できて無事に成功しました。
キャンセル課題はどのように変わりましたか?
芝開:移管したあとの印象としては、本部で実施するのと同等の請求対応ができつつも、シンプルに請求スピードが上がりました。そのスピードが上がったことで、回収率にも良い変化があるのではないかと期待しています。
畠中:こういった状況を見ると、社内ツールを通じて連絡する方がむしろ手間で、Paynを使う方が楽だったのかもしれませんね。芝開さん同様に「現場でもやりがいを感じてくれているのかも」と思うようになりました。やってきたことが着実に成果につながっているのは素直に嬉しく感じます。
こういった変化は随時社内で共有して、しっかりと次のアクションにつなげ、社内の共通認識になるよう努めています。今後も引き続き、良いところと悪いところをデータに基づいて分析し、改善を行っていきたいと思います。
当たり前のことが当たり前にできるようになるツールです。

ホテル業界が今置かれている現状に対して、キャンセル料の請求と回収が当たり前になることは、どんな効果を生むと考えられますか?
芝開:まず、回収したキャンセル料は100%そのまま利益になりますので、利益が上がるというのは間違いないです。
そしてもう一つ「宿泊という商品が世間一般にきちんとその価値を認められたのかな」と感じます。宿泊はモノを販売するビジネスではなく、体験を販売するものなので、商品に形がない分、どうしても安易にキャンセルされてしまいがち、と感じてきました。その裏側には、その商品を用意するために多くの人の想いや労力がかかっているにもかかわらず、です。
もしキャンセル料の請求も支払いも当たり前の世の中になったら、体験という商品の価値もしっかりと世間に認められたということになるんじゃないかと思います。これは私たちもPaynに教えてもらうまで気づかなかった価値観ですね。
最後に、Paynの導入を検討している事業者へのメッセージをお願いします。
芝開:当たり前のことが当たり前にできるようになるツールです。これまではなかなかキャンセル料の請求がしづらくて、泣き寝入りしていたようなことが、当たり前にできるようになります。まだキャンセル料の請求をされていない宿泊事業者の皆さんには、ぜひ一歩踏み出して活用してもらいたいですね。
畠中:決してPaynさんを立てるつもりではないのですが、私たちは「キャンセル料の請求と回収を当たり前にする」という事業のあり方・考え方の面で深く共感し、システムの品質・サポートの面でも、Paynに満足しています。
また、導入したことで、初めて課題の認識と、そこからの進化ができた部分もあります。今、より現実に即したルールにするためにキャンセル料率の見直しも検討しているのですが、これもPaynがきっかけです。
そういった意味で、Paynはただのツールではなく、企業姿勢や取り組み含めて出会えて良かったと思える会社です。
時代としては、自分が購入したり利用したことに対して個人がしっかりと責任を持つ、自己責任の時代になっていくと思います。宿泊の「予約」も同じです。予約とは、ホテル側が部屋を確保し、他の顧客を断るという「契約」を結んだ状態です。 だからこそ、自己都合でそれをキャンセルという形で破棄したのであれば、発生したコストをキャンセル料としてを支払うのは当然の責任ですよね。いずれ宿泊業界でも、これがごく当たり前の常識になっていくはずです。 ただ、それを加速して広めるためには、事業者として率先してこれをやらなければいけなかったわけですが、私たち自身その認識を十分には持てていませんでした。Paynがそのきっかけになって、長く続いた「キャンセル料は請求しない・されないが当たり前」という状況に風穴を開けてくれたと思います。


